特定商取引法に基づく表示のQ&A

更新日:2024年2月22日

T1特定商取引法に基づく表示

T1-1「特定商取引法に基づく表示」は、なぜ必要なのですか?

通信販売(ECを含みます。)の広告をするときには、法律上、販売価格等の一定の事項を必ず表示しなければなりません(特定商取引法第11条)。

これを「特定商取引法に基づく表示」として表示する義務はありませんが、必要事項を不足なく表示するため、まとめて表示することができる事項(事業者名やキャンセルポリシー等)については、「特定商取引法に基づく表示」として表示することが一般的です。

なお、「営業のために若しくは営業として締結する」契約は特定商取引法の適用除外となります(同法26条1項1号)。よって、いわゆるBtoB取引は対象外となります。もっとも、法人向け商品(サービス)であっても、想定外に一般消費者が購入することもありえますので、「特定商取引法に基づく表示」は適切に表示しておくことが望ましいです。

T1-2「特定商取引法に基づく表示」には、事業者名、住所、電話番号を必ず記入しなければなりませんか?

たしかに、事業者名、住所、電話番号は、「特定商取引法に基づく表示」において、を記載しておくことが一般的です。

しかし、個人で営業している場合など、氏名等をウェブ上に表示したくないこともあります。

この点、事業者名、住所、電話番号については、1)請求を受けて書面又は電子メールで「遅滞なく」提供することを広告に表示し、2)実際に請求があった場合に「遅滞なく」提供できるような措置を講じている場合には、広告から省略することが許されています(特定商取引法第11条ただし書)。

よって、「特定商取引法に基づく表示」には「請求を頂ければ遅滞なく開示します。」とのみ記載し、具体的な氏名等は省略することも可能です。

なお、この「遅滞なく」とは、消費者が申込みをする前に、十分な時間的余裕をもって提供されることをいいます。

T1-3キャンセルポリシーは、「特定商取引法に基づく表示」の中に記載しておけば足りますか?

いいえ。キャンセルポリシーは、「特定商取引法に基づく表示」だけに記載するのでは十分ではありません。

2022年6月施行の改正法により、キャンセルポリシーを含む次の事項については、「注文確定の直前段階」(いわゆる「最終確認画面」)で、あらためて表示することが義務付けられました(特定商取引法第12条の6)。

  1. 分量:商品の数量、役務の提供回数等のほか、定期購入契約の場合は各回の分量
  2. 販売価格・対価:複数商品を購入する顧客に対しては支払総額も表示し、定期購入契約の場合は2回目以降の代金も
  3. 支払の時期・方法:定期購入契約の場合は各回の請求時期も
  4. 引渡・提供期間:定期購入契約の場合は次回分の発送時期等についても(顧客との解約手続の関係上)
  5. 申込みの撤回、解除に関すること:返品や解約の連絡方法、連絡先、返品や解約の条件等(キャンセルポリシー)
  6. 申込期間:季節商品のほか、販売期間を決めて期間限定販売を行う場合は、その申込期限(申込期間を定めない場合には表示義務はありません。)

T1-4Webサイト上に「見積もり」「問い合わせ」「資料請求」の受付フォームのみがある場合も、「通信販売」になりますか?

特定商取引法の対象となる「通信販売」とは、ファックスやインターネットを通じて契約の申込みを受ける取引をいいます。よって、Webサイト上に受付フォームがあっても、実際の契約は対面で行うといった場合には「通信販売」には該当しません。

T1-5サブスクリプション契約については、どのようなことに注意する必要がありますか?

継続契約(いわゆるサブスクリプション契約を含む)の広告をする際には、継続契約であることや、金額、契約期間その他の提供条件(特定商取引法第11条6号、施行規則第23条7号)を適切に表示しなければなりません。例えば、サブスクリプション契約のような無期限の契約であれば、「無期限」であることを明確にする必要があります。

また、T1-3のとおり、最終確認画面で各回の分量や2回目以降の代金等を表示することが必要です。

T2ECサイトの最終確認画面

T2-1「最終確認画面」は、どのようなときに必要なのですか?

ユーザーがモノ・サービスを購入するウェブサイトやアプリでは、ユーザーが購入の「申込み」をする画面(いわゆる「最終確認画面」)に、購入するモノ・サービスの代金や数量などの必要事項を表示させる必要があります(特定商取引法第12条の6第1項柱書)。

T2-2「最終確認画面」には、何を記載する必要がありますか?

「最終確認画面」には、以下の事項を表示することが義務付けられています(特定商取引法第12条の6第1項各号、法第11条第1号ないし第5号)。

  1. 分量:商品の数量、役務の提供回数等のほか、定期購入契約の場合は各回の分量
  2. 販売価格・対価:複数商品を購入する顧客に対しては支払総額も表示し、定期購入契約の場合は2回目以降の代金も
  3. 支払の時期・方法:定期購入契約の場合は各回の請求時期も
  4. 引渡・提供期間:定期購入契約の場合は次回分の発送時期等についても(顧客との解約手続の関係上)
  5. 申込みの撤回、解除に関すること:返品や解約の連絡方法、連絡先、返品や解約の条件等(キャンセルポリシー)
  6. 申込期間(期限のある場合):季節商品のほか、販売期間を決めて期間限定販売を行う場合は、その申込期限(申込期間を定めない場合には表示義務はありません。)

T2-3「最終確認画面」は、どのようなことに注意する必要がありますか?

「最終確認画面」については、1)それが取引の「申込み」になることと、2)分量その他の必要事項について、誤認させるような表示が禁止されています(特定商取引法第12条の6第2項)。これは、ユーザーが必要な情報につき一覧性をもって確認できるようにするとともに、不当な表示が行われないようにするためです。

よって、「最終確認画面」は、必要事項を分かりやすく表示していなければなりません。もっとも、必要事項の全部を表示するとかえって分かりにくくなるといった場合には、必要事項を「参照する」(リンクを挿入する)形式も可能です。

このように、「最終確認画面」については、必要事項を網羅しつつ、それらが分かりやすく表示されているかどうかに注意する必要があります。

T2-4「最終確認画面」で必要事項が表示されていれば、「特定商取引法に基づく表示」はしなくても大丈夫ですか?(又は、その逆は大丈夫ですか?)

「特定商取引法に基づく表示」(特定商取引法第11条)と「最終確認画面」(同法第12条の6第1項)は、表示すべき事項の多くが共通しています。具体的には、「特定商取引法に基づく表示」として表示すべき事項から一定の事項(法11条6号⇒施行規則8条各号)を除いたものを「最終確認画面」に表示すべきことになります(つまり、「最終確認画面」の方が必要事項は少ないです。)。

もっとも、これらは、それぞれ別の条文で定められた別の義務ですので、広告段階と申込み段階でそれぞれ表示させる必要があり、どちらか一方で足りるというものではありません。

但し、「最終確認画面」では、必要事項を「参照する」(リンクを挿入する)こともできますので、一部について、「特定商取引法に基づく表示」を参照する方法で表示させることは可能です。